こんにちは!コヤナギです。前回のブログでは、コヤナギのペーパードリップレシピをご紹介しました。今回は、ご自分で淹れたときにどうもお店と味が違う、あまりおいしくない、という場合の対処法をご紹介します。今回はちょっと文章が多めです。時間がない方はご自分の該当する箇所だけ読むのも良いと思います!
そもそも、なぜプロが淹れるコーヒーとおうちコーヒーで味の違いが生まれるのでしょうか?その理由は多岐にわたりますが、主に以下のような理由からだと思います。影響が大きいと思われる順に並べました。
・豆を淹れる直前に挽いているか、挽いたものを買っているか
・豆を挽く器具(ミルやグラインダー)
・抽出する豆の選別(ハンドソート:ブログ記事にて紹介しました)
・豆の保存状態(エイジング:焙煎から何日目か)
・淹れる器具(ドリッパー、紙フィルター、はかりの有無など)
・お湯(水質や湯温)
・プロに淹れてもらったコーヒーだからうまいという良い先入観
・コヤナギのコーヒー愛によるポジティブなエネルギーとその雰囲気
コーヒーがおいしくなる、まずくなるのを決めるのは、2パターン考えられます。
(1)使う豆の状態(ドリップ前に決まっている)
(2)ドリップの仕方
1の使う豆の状態は、ドリップの仕方ではカバーできません。名バリスタも、おいしくない豆をおいしく淹れるというのは難しいんです。下記に1、2と分けて説明しますので、ご参考いただけたらと思います。
(1)使う豆の状態~ドリップ前に確認
・豆はご自分で挽いていますか?
コーヒーを淹れる直前に豆を挽くかどうかで味はかなり変わります。コーヒー豆は香りのカプセルのようなものです。豆を挽くとカプセルを割った状態になるので香りが逃げてしまいます。また、豆を挽くと粉となり、表面積が増えます。表面積が増えると酸化し、水分を失い、ガスを失い、香りを失いやすくなります。粉で買った豆をドリップしたとき、お湯をかけてもふくらまない・ふくらみにくい場合があると思いますが、ガスが抜けているためです。豆の鮮度が急速に落ちてしまうため、できればグラインダーやミルを買って、コーヒーを淹れる直前に豆を挽くのが良いでしょう。
・エイジングはどうですか?
コヤナギコーヒーニッポンでは、焙煎から1~3日目までの豆を発送しています。手元に届いたコーヒーがフレッシュすぎると、シャープな苦みが飲み終わりに残ったり、味が落ち着かなかったり、甘みが十分に出ない可能性があります。焙煎日から5日~1週間ほど経つと飲みごろになりますので、焙煎日を見ながらコーヒーを淹れると良いと思います。また、1ヶ月以上経つと酸化がすすみ、豆からのガスの放出がすすみ、だんだんと劣化してきます。劣化すると古っぽいにおいがしたり、香りが弱まったり、味が平たんになったり、酸味が濁って感じたりします。目安は1週間から1ヶ月で飲み切れる量を購入されると良いと思います。粉で買われる方は、できるだけ少量を、1週間~2週間で飲み切れる分を目安に購入されることをおすすめします。
・その豆は本当に正しく焙煎されていますか?
ここは正直かなり難しいポイントです。最後にも述べますが、コーヒーを淹れておいしくないとき、豆のせいにするのは簡単ですが、正しい方法で抽出されたかどうかという前提条件が付いてきます。浅煎りに限った話をすると、フルーティと書いてある豆なのにフルーティではない、焦げ臭いにおいや味がある場合は焙煎が想定より深い可能性があります。また焙煎から日が浅いフレッシュなコーヒーなのに、コーヒー粉にお湯をかけてもうまくふくらまない場合や、後味にきな粉のような味が残る場合は焙煎不足で生焼けの可能性があります。僕がこういう豆を買ってしまっても、焙煎した方とすごく親しくなければそれを伝えることは無いと思います。これは逆も然りなので、自分が本当に良い焙煎ができているかどうかは、焙煎後に味見をして常に確認しておく必要があります。これはある意味プロとして当然のことのように思うのですが、いつも自分に言い聞かせている部分でもあります。もし抽出がうまくいっているのに味が良くないという場合は、そのコーヒーを買ったお店に聞いてみると良いと思います。
(2)ドリップの失敗
では、実際の抽出に失敗するとどうなるのかを見ていきます。抽出に成功したか、失敗したかはほぼ「抽出時間」で見極められます。抽出時間とは、お湯をコーヒー粉にかけてから、サーバーにコーヒーの液体を取るのをやめるまでの時間です。蒸らしも抽出時間に含まれます。抽出時間の目安は、前回のブログにも書きましたが、使用する器具によって、使う粉の量によっても変わってきます。抽出が速すぎる、遅すぎる場合に出てくる嫌な味が違いますので、それぞれの味を感じた場合は抽出速度を調整するのが良いでしょう。
(イ)抽出不足:抽出時間が目標より早く終わってしまう場合
抽出時間が目標より早く終わってしまう場合、抽出不足の可能性があります。浅煎りのコーヒーを抽出不足で抽出した場合、フルーティさが出る(良い面)反面、後味がものすごく悪くなります。
抽出不足による味の特徴
・味が水っぽい
・甘みが少なく酸味を強く感じる
・飲んだ後にのどの奥の両サイドにいやな苦みが長く残る
対処法
抽出速度を遅くする。
抽出速度を遅くするには、(1)コーヒー豆の挽き目を細かくする、(2)お湯を注ぐスピードをゆっくりにする、の2つです。(1)と(2)を同時に変えるとどちらが抽出速度に影響するかがはかれないので、まずは(1)挽き目を細かくする、をやってみると良いでしょう。それでも改善されなければ(2)を試してみてください。
(ロ)過抽出:抽出時間が目標より遅く終わってしまう場合
過抽出はお湯とコーヒー粉の接触時間が長すぎる場合に起こります。過抽出では、浅煎りのコーヒーの良さであるフルーティさを消し去って、どんよりとした曇り空のようなコーヒーになります。味がつぶれた印象も受けると思います。
過抽出による味の特徴
・味に広がりがなく、重く平たんな味
・鼻から抜ける心地よい香りが感じられない
・飲んだ瞬間から始まる鈍い苦み
・渋みやえぐみを感じる場合もある
対処法
抽出速度を速くする。
抽出速度を速くするには、(1)コーヒー豆の挽き目を粗くする、(2)お湯を注ぐスピードを速めてみる、の2つです。挽き目は1度にあまり大きく変えず、少しずつ変えて様子を見るのが良いでしょう。
またプロペラ式のミルの場合、粒度分布の差が大きく、微粉がたくさん生まれる可能性が高いです。微粉が紙フィルターに詰まると抽出速度を遅くします。また微粉が多く含まれるコーヒー粉を使うと、コーヒー粉の表面積が大きくなり渋みやえぐみを抽出する可能性が高まります。この場合はミルを臼式のものに変えると味が良い方向に激変する可能性があります。
(ハ)おまけ:湯温による抽出不足・過抽出
使用するお湯の温度が低すぎると、コーヒー成分が十分に抽出されず、(イ)の抽出不足になります。またお湯の温度が高すぎると(ハ)のような過抽出となり、雑味や苦みが出やすくなります。コヤナギコーヒーニッポンのフィルターコーヒー用の焙煎度合いは浅煎りなので、湯温が低くなりすぎないように注意してもらえば大丈夫です。深煎りのコーヒーをドリップ用に使うときは湯温が高くなりすぎないように注意すると良いでしょう。低温による抽出不足は(イ)、高温による過抽出は(ハ)と似たような味になりますので、抽出時間が正しいのに味がおかしい場合は湯温を疑うのも良いでしょう。
まとめ
僕はコーヒーを淹れるとき、できるだけ可変要素を少なくします。良いコーヒー・悪いコーヒーができたときに原因を見つけやすいからです。可変要素は使用するコーヒー粉の量、お湯の量、抽出時間などです。
プロは、まずいコーヒーを作った時、理由がわかり解決できる必要があります。自分の淹れ方が悪かったのか、それとも焙煎が悪かったのか、どこに原因があるか、責任分界点を見極めるというのが大切です。僕はおいしくないコーヒーを飲むと、原因はどこにあるか(焙煎か淹れ方か)がだいたいわかります。これは自分が過去に淹れたまずいコーヒーをデータベース化していて、こんな味のときはどうだった、というのをデータ照合しているからです。だから、まずいコーヒーを飲むのはあながち悪いことではありません(笑)できれば毎回おいしいコーヒーが良いですが・・・。
コヤナギコーヒーニッポンのコーヒーを買った・もらったけど、なんだかおいしく入らない・・・という方は、いつでもお問い合わせください。全力で原因究明とおいしいコーヒーづくりのサポートをいたします。
hello@koyanagicoffeenippon.com
長文になりましたがここまで読んでくださってありがとうございました!!
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